お知らせ
胃がん検診、受けていますか?
この4月から豊中市民健診の中身が変わり、胃がん検診対象が50歳以上、西暦で奇数年生まれに変わりました。今までの半分以上受診対象者が減ることになるのですが、そもそも豊中市の胃がん検診の受診率は4.3%と大阪府下でも低い水準です。
現在、日本人の死亡原因の1位はガンであり、臓器別ガンの死亡数は、肺がん、胃がんを合わせると全体の3割を超えます。40年前では、ガンの中では胃がんが圧倒的に多く、当時は死に直結した恐ろしい病でした。現在では技術進歩や早期発見で死亡率は減少していますが、男性が罹る率は現在なお2位です。
皆さん、今年は豊中診療所で「胃がん検診」デビューしてみませんか?豊中市胃がん検診の変更について
2019年3月まで | 2019年4月以降 |
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満40歳以上 1年に1回 |
満50歳以上 2年に1回(西暦で奇数年生まれ) |
医療生協の機関紙 『かけはし』2019年5月号 中塚所長の「健康への道しるべ」より
~胃がん検診も大事です・・・~
皆さん、こんにちは。長い連休が明けたら本格的に「令和」時代が始まりますが、周りを見回しても、特に何も変わらないなーと思っている今日この頃です。
先月は大腸がん検診の重要性を訴えたいとの思いから私自身の大腸検査のことをレポートしたのですが、かえって皆さんに多大なご心配をおかけしてしまったようで本当に申し訳ありませんでした。その後の再出血もなく無事過ごしておりますのでどうか皆さんご安心いただければ幸いです。
ところで、前回の最初にも書きましたようにこの4月から胃がん検診の対象が絞られてしまっていますが、それでもまだまだ多くの組合員の方々に受けていただけるチャンスがあります。胃カメラでの検診も始まりましたが、カメラ検診の委託医療機関が非常に少ない状況では、やはりバリウムでの胃X線検査による検診が重要です。
最近は、カメラの方が判ることが多いし、経鼻で鎮静剤を使ってもらえれば楽に終わると言うことで最初からカメラを希望される方も増えましたが、初めて胃がん検診を受けられるという方はやはりまずバリウムでの胃透視検査を受けられることをお勧めしたいのです。
なぜならば、バリウム検査でしか見られないものがあるからです。
バリウムを飲んだことがおありの方ならお判りと思いますが、白くてどろっとはしていますが液体なので、飲むと消化管の中を流れていきます。つまり食道や胃を通過したあとは十二指腸へと、「流れていくさま」を観ることができます。どこかで流れが滞ったり、まれには胃から食道への逆流が見られたりと得られる情報は思ったより多いものです。
加えて、食道から胃に至るあたりの「形状」がわかります。全体に少し長めだとか、横を向いているとか、単純にそういった形が判ることは、以後に必要があって胃カメラをしないといけない時にも大事な情報になります。わかりやすいたとえをしますと、車でどこかへ出かける時に、地図だけ渡されて行き先をいわれてもかなり苦労しますよね。でも、カーナビで道筋が示されていたらかなり楽です。それと同じようなことと考えていただければいいと思います。
ただ、この「形状が判る」ことは、実はもっと大きな意味があります。胃がん検診で「陽性」となる場合も、明確に胃がんの疑いなんて出ることはめったにありませんが、そんな有所見の中で比較的多いのが「胃角開大」という所見です。これは、本来重いバリウムが入ると胃が柔らかく伸びるはずなのですが、それが十分に伸びない、というもので胃の壁が硬くなっていることを意味します。たいていの場合は胃炎や潰瘍の瘢痕なのですが、中からだけ見ていれば判りにくいスキルス型の胃がんなどの可能性もなくはなく、精査しておくべき所見なのです。
このように、胃透視でないと判らないこと、胃透視を先にやっておくことに意味があること、というのがたしかに存在します。台の上で逆さになるのが大変だとか、飲んだあと出すのに下剤が必要だとか、「しんどい」ところがないわけではありませんが、さほど高齢でない方々、そして前述のように初めて受ける方には大事な検査と考えています。ぜひ年1回の検診の際には胃透視による胃がん検診も合わせて実施いただけるようにご検討下さい。よろしくお願いします。